佐山雅弘質問箱 2015年7月

kamomesann
ビックバンドにおけるピアノとギターの役割。特にギターです。
投稿日時:2015/07/31 01:43
 ビックバンドをやっています。ビックバンドは管楽器が歌としてメインで、ピアノとギターはドラムやベースと同じリズム楽器に位置しています。そのためか、あまり出しゃばりすぎると、管楽器に迷惑をかけて、なかなか弾くことができません。最近では、弾かない方がいいのではないかとすら思ってきています。
ピアノはいいのですけど、私はギターをやってます。ギターはピアノとかぶってしまい、何か同じことをしている感じになります。そして、調べてみると、行きつく先がカウントベイシーのフレディーグリーンの四つ切にたどり着きました。四つ切もすばらしいので、最近は練習しています。なかなかスィングの1,3音。2,4音のニュアンスの違いを出すのが大変ですけど楽しくなってきました。しかしです。四つ切があわない楽曲も数多くあります。特に最近のジャズの曲などです。その時などは、ギターはどうしたらいいと思いますか?それと、蛇足的な質問ですけど、佐山さんは、いつもギターと一緒にジャズやるときに、気を付けている点や、ギターにこういうことをしてほしいなどということはありますか?

いくつも質問してしまい、すいません。よろしくお願いします。

佐山雅弘
Re:Re:ビックバンドにおけるピアノとギターの役割。特にギターです。
投稿日時:2015/08/08 00:16
最初にお断りで恐縮ですが、僕自身はビッグバンドに全く詳しくもないし、オーケストラアレンジは出来てもブラス、とくに金管のアンサンブルについては苦手です。ピアニストの気持ちとか、ジャズの文学的側面の話として参考にしたりしなかったりしてください。
長くなっちゃったので飛ばし読みでも。さて頂いた質問の項目を整理してみると・・・
①リズムセクションとしてのギター
②弾かない方が?
③ピアノとギター
④四つ切り
⑤コンボに置けるピアニストとしての共演ギターへの基本態度
ということになりますね。順番に考えていきましょう。

① リズムセクションとしてのギター
4人のリズム隊がノリを同じくして演奏すると凄い推進力になりますね。いわば4気筒のエンジン。ということは先ず一人一人がエンジンになって回転がリンクする、という状態を目指すわけ。4つ切りやアクセント合わせ、長い音での和音の提供、などなど出来ることはいっぱいあるけれど、何をしていても基本的なタイムとグルーブが一致していることです。これは弾いた音符で作っていくのではなく、体で感じていることが弾いた音に乗っかる状態にならないとノリは出ないし、エンジンにならない。
解釈を統一するとかパターン打ち合わせをするのも良いけれど、先ずは気持ちを合わせることでしょう。
② 弾かない方が?
弾かない方が良い、というよりは弾かなくても良いのです。義務としてではなく権利として弾く、とでも言おうか。
ビッグバンドと言うとギターの4つ切りが定番のように思いがちですが、それは間違い。ベイシー楽団そしてフレディグリーンのスタイルであってゲレンミラーもエリントンもグッドマンもそのスタイルはとっていない。
まぁそれだけベイシーサウンドが魅力的で影響力が大きいということですね。これはジャズファンとして楽しいエピソードとして脇に置いておく。
コンボでのバッキングを箇条書き風・簡単な解説付きにしてみると
「和音の提供」白玉での和音提供が基本ですが、4つ切りにもこの要素(進行している和声のガイド)はありますね
「合いの手」ベースラインがそうであるようにギターの4つ切りも結果的にフレーズの合間の間の手になっている、という面がある
「アクセントユニゾン」ソロフレーズのアクセント位置に合わせてそこを強調してあげる。ビッグバンドで言うとセクションのトップノートにユニゾンする場面。
くらいのことになりますが、基本的にはフルバンドでも同じでしょう。コンボのように気ままにやると色々「アタル」ので、“こう弾きたい。今なら弾けるスペースがある”という時に弾くと良い。つまり「弾かないでも良い→義務的に弾かなければならないことはないのだ」と考えてよいのではなかろうか。
③ ピアノとギター
ピアノの立場を述べます。
ピアノの譜面には-9とか13とか+11なんて面倒なことが逐一書いてある。コンボ屋としてはメジャーがマイナーかセブンスの指定さえしてくれてれば機能和声は把握出来て、テンションその他は自由にさせてほしい。でもビッグバンドだとヴォイシングが決まっているのでそのように弾く、少なくとも違うテンションは入れないことが大事になってくる。なんだかつまらない気持ちにもなる。けれどもサックスソリなんかとのタイミングが合って、ピアノ特有のアタック感をブラスサウンドに加味することが出来た時などはアンサンブルの妙味・喜びがヒタヒタと湧き上がりますね。
ただこの場合、あくまで裏地でなくてはいけない。ピアノの音がピアノとして聴こえると失敗。なんだかブラスアンサンブルの音色の質が変わったな、上質になったな、豊かになったな、というサウンド・境地がプロっぽいところ。ただしこれはギターにはあまり向いていないですね。
④ 四つ切り
同じコードを4拍弾く。同じコードをポジションを変えて弾く。CMaj4拍をCMaj→Dm7→D#dim→Em7、のようにコードプログレッションを作る(これが意外とブラスアンサンブルと当たらずに両立するんですね)。など色んなステップがありますね。基本のリズム、タイムとグルーブが伴ってないと無意味とはいえ、このテの学習はとても楽しいですね。そう!技術や知識の習得はプレイヤーの義務でなく音楽家の楽しみなのです。
その意味で基礎能力として4拍をコードで刻み進めるようになるのはとても有効で有意義なことです。幸いその学習に喜びを見いだされている様子。ぼくも嬉しい限りです。
ただ、仰る通り「何が何でも4つ切り」という必要は全くないですから義務感から自分を解放してあげましょう。四の五の言う人がいたら「そうですね」と笑顔でスルーしましょう。
⑤ コンボに置けるピアニストとしての共演ギターへの基本態度
ギターは管楽器だと僕は思ってます。アルトサックスと共演するようにギターとご一緒する。たまたま和音が出てバッキングも出来るのでギターがバッキングに入った時はピアノは休みにしてそれなりの場面にする、とか、こちらは白玉にして、合いの手やリズミックなバッキングは任せる。
リズムパターンに入ったらユニゾンぽく合わせたり、組み合わせで錯綜するようなパターンを出し合ったり。楽しみ方は無限にある。
基本は「こうしなくちゃ、これは弾かなくちゃ、これは守らなきゃ」なんてことはなくて、「こんなことしたら面白くなるな」「なんだかこんなことしてみたくなっちゃったな」ということをやっちゃう。面白い。でもそれはコンボの楽しみか。
コンボミュージシャンにはヘッドアレンジの要素・素養が必須ですが、ビッグバンドの場合は、クラシックとか吹奏楽のように「書かれたものを如何に良く実現していくか」という喜びの要素が多分にある気がしますね。
“落ち”や“結論”が付けられないままで心残りですが、つらつら考えてみました。

1:46くらいからセンターに登場。

 

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