佐山雅弘質問箱 2015年9月

jvocal
サブドミマイナー代理コード
投稿日時:2015/09/03 00:46
今回はちょっと違うテーマで質問させてください。サブドミマイナーです。マニアックな質問かもしれません。

スタンダードの中で、ダイアトニックと違うコードが出てきた時、よくあるのがサブドミナントマイナーの代理コードですよね。bⅡmaj7、bⅦ7、bⅥ7、bⅥmaj7。そして、7thはその前にm7をつけるというパターンもよくあります。キーがFの酒バラだと、2小節目はいきなりEb7が現れて、7,8小節はEb7に行く前にBbm(サブドミマイナーそのもの)をつけてます。

つけてるけど、機能はサブドミマイナーなのでここの2小節はEbのリディアン7thで弾けばいいというのが基本だと思います。現代のジャズでは、アドリブに限れば7小節目でドリアン(つまりb7thであるAb)を入れるのもありとも言われているようで、それは弾いていても納得できます(私はA音の方が好きですが)。ドリアンで弾いても次のコードであるAm7b5(転調していない)に無理なく行ける感じがあります。キーはGですがYardbird SuitなんかもbⅦ7ということでは同じですよね。

ところがなんですが、Out Of Nowhereという曲がありますよね(普通はGのキーで演奏されることが多いと思います)。ここで3,4小節目にサブドミマイナー代理のbⅥ7thと思われるEb7とその前につけたと思われるBbm7が出てきます。

ここを、転調ととらえる知り合いもいましたが、やっぱりEb7はサブドミマイナー(フラット6度7)と捕らえるのが正しいというベテランがいて私はそれに納得しました。Bbm7は上に書いたようにメロディックマイナーでもドリアンでもいい。ただし、転調であればEb7をミクソにすることもできる理屈ですが、ミクソにするとどうしても4度上のAbキーの3度であるCなどに解決したくなるので、本来のキーであるGに戻りにくい感じが出てくると思うのです。やっぱりEb7は解決しない進行を前提とするリディアン7thなのではないかなと。

もっとも私の好きなスティットなどは、ミクソっぽく吹いてからGのキーの3度であるB音を長く吹くなどして強引に?戻っている演奏もあって、それはそれで違和感はあまりないです。自分のレベルだと前回書いたテーマの方がずっと重いのですが、ひっかかると放っておけないたちなものでして、、、

ということで、やっぱりOut Of Nowhreのこの部分は、Bbm7はメロディックマイナーでもドリアンでもOKですが、Eb7はリディアン7thというのが初心者には無難かと思うのですが、佐山さんはどうお考えですか?

佐山雅弘
Re:サブドミマイナー代理コード
投稿日時:2015/09/10 06:30
結論から言うと、リディアンセブンがまずは妥当で無難だと考えます。お答えが遅くなりましたが、面白い話なので以下会話風に・・・

キーがFの酒バラだと、2小節目はいきなりEb7が現れて、7,8小節はEb7に行く前にBbm(サブドミマイナーそのもの)をつけてます。

つけてるけど、機能はサブドミマイナーなのでここの2小節はEbのリディアン7thで弾けばいいというのが基本だと思います。

酒バラの場合はあくまでBbmMaj7であって、Eb7は後づけ、だと僕は解釈します。一体にⅡm7→Ⅴ7というのはビバップイディオムで、ジェロームカーンやコールポーターにたまたま出て来ても4度の強進行の為であって今日的な(今日的でもないか)サウンドを志向していた訳ではないと思うのです。
Ⅴ7が出て来たらⅡm7→Ⅴ7に分ける。Ⅱm7が出て来たら、後づけでⅤ7を付け足すと、ビバッパーとしてはアドリブがし易くなるし、ジャズっぽく出来る、というところ。
ヘンリーマンシーニくらいになると、両面加味して、というか確信犯で使っているはず。それにしてもメロディの辿り着きと4度マイナーメジャーセブンスの合体はうなるほどのセンスですよね。
ジャズのアドリブにして、まるっきりのⅡm7→Ⅴ7でドリアン→リディアンセブン(またはミクソリディアンとかオルタードとか)キーを離れてフレージングするのは大いにありだと思います。転調感は免れませんが。

ところがなんですが、Out Of Nowhereという曲がありますよね(普通はGのキーで演奏されることが多いと思います)。ここで3,4小節目にサブドミマイナー代理のbⅥ7thと思われるEb7とその前につけたと思われるBbm7が出てきます。

ビングクロスビーの元歌は辿れなかったのですが、これも本来的にはⅡm7→Ⅴ7ではなくて単純なⅥb,サブドミナントマイナーだと思います。Ebメジャーで2小節伸ばしてみるとなかなかハリウッド的なサウンドになります。

ここを、転調ととらえる知り合いもいましたが、やっぱりEb7はサブドミマイナー(フラット6度7)と捕らえるのが正しいというベテランがいて私はそれに納得しました。

サブドミナントマイナー自体がクラシック理論では”借用”と云って、”転調まではいかないが一時的に違う調性を借りる”ということですから、アドリブラインを作るにおいては転調と捉えて何ら問題はないのです。ただ”借用”ですから元のキーのダイアトニックトーンが使える所はそちらを選んだ方がスムーズなので、結果的にリディアンセブンの音列になったりするのだな。

Bbm7は上に書いたようにメロディックマイナーでもドリアンでもいい。ただし、転調であればEb7をミクソにすることもできる理屈ですが、ミクソにするとどうしても4度上のAbキーの3度であるCなどに解決したくなる。

Cに辿り着いてしまって、それをGメジャーの3度の掛留音として捉えてフレージングを繋げる、というテもあるけれども・・・

やっぱりEb7は解決しない進行を前提とするリディアン7th

で対処する方が”ウタ”がつながりますね。

ここからは世間話。
僕は移動ド。キーのトニックを”ド”と読んで演奏します。音を聞いたり譜面を見て、自分の耳にドレミファがどのように聞こえるか、でキーを判断する。これでいくと酒バラの4小節後半から8小節目にかけて”ソミミーラーーーソミミーラb-ーーミレ”と聞こえるので転調ではなく借用と捉える。
out of nowhereも”ソラシレーーードソラシb-ーーーーーー”なので転調ではないのですが、4度マイナーはダイアトニックのまま移動ド読みできるのですが、6度フラットはまだ良いとして3度フラットマイナーは移動ド読みが大変なのでアドリブのときは転調して、つまりBbを”レ”と読んでフレーズを作ります。
移動ド読みは調性感も出るし、転調もわかり易く、人間本来の感性に密着しているので自信を持って入るのですが、こういう面倒な借用和音の場合とかピボットコードでの扱い、モード、無調、フリーになると弱いですね。とくに無調やフリーの場合、言ってみれば全てハ長調で対処していることになる訳で、どうも困ってしまいます。

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