佐山雅弘質問箱 2015年8月②

jvocal
歌うフレーズ練習法
投稿日時:2015/08/25 23:45
 佐山さんのビデオで、アドリブプレイヤーには2種類あって、引き出しから次々と出してくるタイプ、その場で作曲しちゃうタイプ、自分は後者と仰っているくだりがありました。これはずっと印象に残っていて、まず最初はどちらでも弾けないわけですが、オルタードのフレーズパターンなどをⅡ-Vで覚え、ここで出そうとしていれば段々出せるようになってきますが、アドリブの本道とは違うとは佐山さんも質問箱で書かれている通りだと思います。
「弾きたいフレーズが頭の中で鳴る、それ以外を弾いちゃいけない」ともそのビデオで仰っていました。自分ははるか昔に下手な管楽器を吹いていて、8年ほど前に歌を始めたのですが、ダイアトニックコード中心の曲は、次のフレーズが浮かぶのでスキャットできます。なのに、ピアノとなるとフレーズが浮かぶ前に、次に弾かなきゃいけないコードスケール上の(外してなければどこでもいい)キーに指を置こうかという意識が強く、そうするとフレーズはいつまで経っても浮かんで来なくて、スケールやアルペジオを行ったりきたりしかできなくなってしまっていました。最近、ブラックバードを課題曲にしてから少しだけ光明が見えてきたような気がしています。最初はトニックやⅡm7がずっと続いていやだなあと思っていたのですが、我慢して練習しているうちにフレーズが終わってから、次に弾きたい音列が頭に浮かび、その何割かは弾けるような感じがしています。ソルフェージュが少しはできるようになってきたということなのかもしれません。そして自分なりに良いと思えるメロディーを弾けると、トニックやⅡm7を4小節くらい続いて弾くのが逆に楽しくなってきました。

そこで、佐山さんが書かれていた「歌うフレーズを弾くキース・ジャレット」をYoutubeで探していたらブラックバードがあって、なるほど歌うというのはこういうことかと納得した次第です。バップ時代からよくあったパターンとは一味違うフレーズでしかもいいメロディーを奏でているんだなあと感じました。

前置きが長くなりましたが、ここから質問です。
①上に書いたような意識や練習プロセスで間違ってないでしょうか?
②歌うフレーズを弾くためにもっと効率のいい練習法はないものでしょうか?何せ還暦目前で時間がないもので、欲張った質問でスミマセン。

佐山雅弘
Re:歌うフレーズ練習法
投稿日時:2015/08/27 23:45
先ず最初の質問の答。実に正しい道筋です。会話式の文中で追加事項を。

◎ダイアトニックコード中心の曲は、次のフレーズが浮かぶのでスキャットできます。

*いいですねえ。ジャズならずとも同様や歌謡曲を歌っていても、合いの手のフレーズが浮かびますね。ジャズのアドリブも基本はそこだと思うんですよ。

◎ピアノとなるとフレーズが浮かぶ前に、どのキーに指を置こうかという意識が強く、そうするとフレーズはいつまで経っても浮かんで来なくて、スケールやアルペジオを行ったりきたりしかできなくなってしまっていました。

*冷たいようだけど・・・声で歌うほどにはピアノを弾くことが身についていない、ということなんでしょうね。ひとつには”このくらいの運動量はこなせなきゃ”とか”何とか上手そうなフレーズを弾きたい”という意識があるんじゃなかろうか?僕も演奏中に時々その意識が出て来て、そういうときはたとえ弾けたとしても説得力のないフレージングになりますね。
ジャズは基本的にリズムコンシャスに個人個人の力量でフレージングすれば成立するようにできているので、「弾ける範囲でスイングさせる」ことに専念すれば良いんじゃないだろうか。
あとは基礎力アップですね。ハノンも良いけど、音色力のアップにはブルグミュラーからショパンまで、何でもいいからクラッシックものをたどたど練習すると知らぬ間に音色も良くなり力まずに通る音が出るようになりますね。
アイデアの獲得法は”聞きまくり”と”コピー(トランスクライブ)”しかないと思います。あ、セッションを重ねることで共演者からの受け売りが自然に身に付く、ということもありますね。気の合う人と知り合うと、だんだん喋り方が似てくる、みたいな。

◎ブラックバード。トニックやⅡm7がずっと続いていやだなあと思っていたのですが、練習しているうちにフレーズが終わってから、次に弾きたい音列が頭に浮かび、その何割かは弾けるような感じがしています。

*曲を何度もセッションしたり練習すると、タイムラインに沿ってコード感が身体を流れるようになりますね。その効果が大きいのでしょう。

◎ソルフェージュが少しはできるようになってきたということなのかもしれません。

*ソルフェージュです。表現力の源は何と言ってもソルフェージュ能力です。人のいうことがわかる、その背景にまで理解が及ぶ、自分の気持ちを表現出来る、より良い方法(短く簡潔に)で表現できる。日常会話のインテリジェンスにも通じます。かねがね僕はジャムセッションというのは飲み会の会話のようだと思うのです。気の合う仲間と連日飲んでも、会話法は変わらず、話題もさほど変化しないのに毎日違う話になっていて全部面白い。

◎そして自分なりに良いと思えるメロディーを弾けると、トニックやⅡm7を4小節くらい続いて弾くのが逆に楽しくなってきました。

ワンコードが続く中で自由にフレージングするというのは”モード”的快感ですね。

◎「歌うフレーズを弾くキース・ジャレット」Youtubeブラックバード。なるほど歌うというのはこういうことかと納得した次第です。バップ時代からよくあったパターンとは一味違うフレーズでしかもいいメロディーを奏でているんだなあと感じました。

*キースは確信犯だと思います(笑)メカニカルなビバップフレーズではなく敢てメロディアスに徹することで独自のスタイルを確立したように感じる。勿論フリースタイルとかフュージョンタッチとか色んな時期を過ごすうちにね。
考えてみればメロディを紡ぐ、というのが一番それぞれ個人の個性が出易い方法ですものね。

◎前置きが長くなりましたが、ここから質問です。
①上に書いたような意識や練習プロセスで間違ってないでしょうか?

*冒頭で述べたように順調なステップアップです。基礎力アップと見栄を捨てることを心がけたら、と考えます。正解かどうかはわかりません。ジャズの上達法は、個人個人が自分の上達法を発見する所にアルト思います。

◎②歌うフレーズを弾くためにもっと効率のいい練習法はないものでしょうか?

*やはり実際に歌うことでしょうね。ダイアとニックが歌えるように、コンビネーションディミニッシュスケールのような人工的な音列やフレーズも、コピーやら自分の考えたフレーズやらを口に出して歌っているうちに(階名がついてたり、ラララだったり)歌えるようになりました。
お話を聞いていると、既に歌える範囲は広がりつつある段階のように思えます。安心して楽しんで欲しいです。

 

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