佐藤允彦の事後処理能力

2015年7月31日
佐藤允彦の事後処理能力

教え:間違いは起こる。それをどうしていくか、が見所。
飯綱ジャズフェスティバルというのが、ある期間毎年あった。信濃新聞主催。各地ジャズフェスが盛んなころでスクエア、マルタ、マリーン、カシオペアのなどが色んな土地でレギュラー化していたものだが、飯綱はそれらに混じって、リアルジャズ、というか客はあまり知らないが聴いてみると納得・大喜びするような演目をいつも用意していて骨太だった。
ある年の、そんなシブ線シリーズが佐藤允彦トリオ。桜井郁男と日野元彦。ジャズの真骨頂を見る、素晴らしい演奏だった。丁々発止の中、当然タイミングのズレが所々生じるのだが、そこの乗り越え方が如何にも自然で、ズレそのものが格好良くなっていく様に陶然となったものだ。
そこで終演後、佐藤さんに質問ふたつ。①ズレを修正する時の命令系統はどういうものか?②僕自身ハシリ癖があり、ついずれる。対処法があればご教授願いたい。
① の答え。バンドの成り立ち、形態によるところが大きい。誰が取って来た仕事か(誰にギャラをもらうか)、とか先輩後輩のぐあいとか。これはまぁ笑い話的な本当の話として、基本的にはやはり臨機応変だろう。セッションないしリーダー性の弱い(コラボレーションを第一に考える)バンドでは、命令系統が確立しているわけではなく、そのときどうすれば音楽が良くなるか、がいわば命令・指令であって、特定の個人に依存しているわけではない。
この答えは随分僕の考えが入っていて、どこまでが佐藤さんのオリジナルサジェスチョンだったか定かでない。念のため。
② の答えはよく覚えている。
「間違いは起こる。時にズレは生じる。その時にどうするか、が大事なのだ。」
間違いを起こすまいとして安全運転を心がけるよりは、思い切りプレイして、遭遇した偶発事故にどう対応するかも演奏過程の重要な要素、と読み取ると、これはある種の「人生の過ごし方」である。大いに賛同してしまう人生訓。
ジャズマンたちは確かにそのように生きている。

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