伝兵衛の記

2014年12月19日
伝兵衛の記

 “出会い@日比谷野外音楽堂”
夏の日比谷でブルースフェスティバルに出ていた。永井“HOTOKE”隆と。ウエストロードブルースバンドに混じったか、クレイジーブギナイトだったか忘れたが他に近藤房之介や憂歌団などもいて、酒と女の匂いがムンムンする賑やかにも猥雑な・・・まぁアノ感じ。ギャラや楽屋には一言も文句を言わない聖人のような正木五郎さんが弁当の不足や遅配のことになると烈火の如くお怒りになる、なんていう面白い出来事もあった。何かしら事件やエピソードが生まれるのが面白い。
大塚まさじさんが田と川律さんが現れ、やぁやぁと話していると何やら相談事があるらしい。鹿児島から上京してデビューを控えたシンガーソングライターにアレンジとピアノを、という話。紹介されたのが伝兵衛だった。これといった印象はおぼえてないが一体に僕は人について判断はしないのだ。特に男には無関心。ブサイクな男がとてつもない才能を持っていたり、目立たない女がステージでは狂乱の振る舞いを見せたり、親切この上ない大人がギャラの持ち逃げをしたり・・・クセのある人ばかりに混じるうちに先入観を持たなくする習慣が身に付いたのではなかろうか。
それはともかく歌手や企画が気に入ったというよりはまさじさん律さんという大物どころにご指名を受けた嬉しさで引き受けたのだった。

“葵スタジオ”
伝兵衛と一緒にやって来た所謂“伝兵衛商会”のメンバーはギターのツネちゃんとベースの山田君。木管五重奏(フルート・オーボエ・クラリネット・ファゴット・ホルン)に小編成ながらも弦楽五部(5・5・3・3・1)を乗せて僕のピアノも加わるという豪華な編成で“湘南レイニーデイズ”“Wesが聴こえる”を録音した。作詞のクロさん、その旦那のゾウさん(西岡恭蔵)桑名の晴ちんもいてとても豪華で・・・ず〜っとうるさい。ぺっちゃらくっちゃらべちゃらぐちゃら。麻布十番にいるはずが阿倍野か天下茶屋か・・・。
当時務めていた加山雄三さんの所で一緒のバイオリニスト、岡本エリが真っ黄色のスーツで決めて来て鮮やかだった。程なく服部隆之夫人になり天才少女バイオリニストを有無に至るのだがそれはまた別の話。
フォークともポップスともジャンルの名付けようの無い伝兵衛ミュージックは当時から健在で僕のアレンジもジャズに則ってはいるがある種クラシカル、ある種リズミカルで良い味に、面白い化学変化だったと思う。残念ながらこの音源の発売はスムーズにいかず、別録りの自主盤を出して何年か紆余曲折を経て世に出たように記憶している。

“ジェットコースターツアー”
伝兵衛商会のツアーに誘われて一も二もなく参加した。九州を廻れるなんて嬉しい限り。初日に大分について会場はというとお城の敷地内の県民会館。「今日は誰が出るの?」と訊くと「我々ですよ」
つづく・・・

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