新作私記

南佳孝の新作が12/1に発売される。まだ抗癌治療安定するまえの入院時期(9月初旬)に医師に外出許可をもらっての参加だった。当日の体調によってという状況でよくぞ設えてくれたスタッフ・メンバーにまず感謝だがなんとか無事に二日間録り終える事が出来た。

LPである。世間的にも個人的にもこの時期に LPが作れるとは思いもしなかったのでとても嬉しい。そして見本版が届いてみると、、、。いいんですねこれが。木目を感じるようなピアノの音色の質感。いわずもがなバカボンと鶴谷の鉄壁のリズム。A面が南オリジナル(日本語)、B面がスタンダード(英語)という構成。佐山個人的&サヤマニアにオススメは B面の2曲目からラストまで、という聴き方。CDも付いるのでレコードプレイヤーを持っていない人(殆どだろうけど)も買って下さい。

ジャケットがまた素晴らしい。ブルーノートを彷彿させるようにジャズっぽく、それでいてて21世紀的モダンさもあり、クリスマスカラー(メルトーメのクリスマスソングも収録)がちらりと感じられて、次に自分の LPが作れる時があれば是非このデザイナー(まだ知らない)にお願いしたいと思う。

ピアノプレイについて。技術的に随分落ちていると思ったが出来上がりを聴くとそうでもない。いつもつきまとっていたケレン味(どんなもんじゃ的なひけらかし・・・損なつもりはないのだが客観的に聴くといつも反省点のトップにある)が見事に取れているのだ。体調もさすがに万全ではなかったので丁寧に丁寧に弾いたのが良かったのだろう。“Every Time We Say Goodbye”でバラードの中の押し込み早弾きが出てくるのだが、ずっと目指していた「マッコイタイナ−的音数多いがとてもバラード」という状態になっている。“黒猫”でのアブストラクトフレーズも「形がなくて色合いだけがある」というミロやカンジンスキーへの憧れが達成出来ている(ように思える)。

以下LPから離れる。

バカボン・鶴谷は当代日本トップのリズムセクションだろう。安定感・間の取り方・要所要所のタメ。すべて理想的。それぞれの音色も合わさった時のサウンドも申し分ない。彼らのグルーブに助けられてこその新境地と良い結果だとつくづく思う。につけ僕はドラムベースのコンビに恵まれていた、という以上にだからこそ成長出来たのだな。

ジャズを抜いてソウル・ロック系をたどると。

学生時代にディスコ廻りをした「小川ヒロ・板垣康」プロの入り口でハコバンをした「小川ヒロ・津田俊司」全国を回る途上で家業を諦めてプロになる気持ちを固めた良次朗バンドの「川端民夫・古澤良次朗」ブルースを叩き込まれたクレイジーブギナイトの「ロミー木下・松本照夫」ロックバンドの洗礼を受けたJRZM(ジュラズム)では「伊藤公紀・ジョニー吉長」これで上達しない方が不思議である。まっただ中では楽しいばかりとちとイケナイことの怒濤だったんだけど、まぁそういうものでしょう。

そして明日に向かっては今の若手中の重量級「織原良次・福森康」のB’Ridgeが現在進行形。なんと幸せ。年明けにはレコーディングを目論んでいる。

久しぶりなので長々書いてしまいました。読んでくれてありがとう。

PS: 体調と言うか病状の経過報告みたいなものもした方が良いかとも思うのですがなんせ先の見えないこととて、アップする頃には嘘になることも容易に予想されるので控えてます。これを書いている11月30日現在は小康を保てている、というくらいでご了解ください。

 

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