M14,15

2016年3月2日
M14,15

M14 ライフイズミュージカル/ウエディング
ここでこのミュージカルの第二メインテーマとなる“ライフイズミュージカル”が出てくる。台本先行なので、この後の色んな変化に対応するべく基本動機を考えた。基本動機というのはベートーベン“運命”の“ジャジャジャジャーン”というあれ。短いワンフレーズで全体を支配する音型のことです。
種明かし。“げきじょうーへー”のメロディの“じょ・う・ー・へ”の音をダウンビート(始まりの小節の1拍目)の二拍前にアウフタクト(先立つ音符)にすると“Life is musical”の“ライフ・イズ・ミュー・ジ”までのメロディになります。
このように似て非なる別曲を並べることで全体の親和感を図っているわけ。直感と計算のはざま、融合。経験値ともいえるし、“霊感”と気取って、口説きに使ってもよい。
そうして先に出来上がったサビに向かって、Aメロを作っていく。これは語りの要素が多いので、言葉のイントネーションとリズムに合わせて図形を書く。その上から五線を当てはめると(←比喩ですよ。念のため)自動的に曲になっていく。整理整頓、ムードにあったコードを割り振ったら、結婚式お約束のイントロをつける。
と、レシピを思い返してみるのだが、実際の所、この曲に関しては作った過程がぼやけている。僕はコンサートでも曲順に編曲したり作曲する。今回の作業は突貫だったので、14曲目ともなると、朦朧としながら書いていたのでしょう。そのせいで、他人事のように(誰か他人が書いたかのように)思えるので、素直に「明るく楽しく、佳い曲だなぁ」と楽しんでいる。
石原さんの美術も可愛いし、キャストの動きもお茶目だし、トランクは走り回るし、ね。

M15 エアポートの悲劇
バース付きの歌詞が来た。シャンソンでは“クープレ”、ジャズでは“バース”、オペラでは“レスタティーボ”。本歌(コーラスともいう)に入る前の語り歌いの部分。有名なのは“スターダスト”。本歌の“sometime I wonder,,,”に入る前に“and other purple dust of twilight time”(←うろおぼえ)と歌う部分ですね。
ハネムーンという歌詞が4回。特別の指示はなかったのだが、わざわざ4回書いてあるのだから、と考え込んだ。
一体、鈴木台本にはこういうことも多い。「・・・」とかね。”ぼっちゃま”の時に演出の河原さんがキャストの誰かに「このテンテンの意味する所を演技しよう。なぜテンテンが4つじゃなくて3つなのか」みたいなことを言っているのを傍で聞いていて感動しつつも「役者と言うのも面倒なもんだなぁ」
ハネムーンに戻る。
4回を「期待→喜び→不安→落胆」と解釈してメロディの上げ下げと和音を作った。そのあとのひとくだりは、おしゃべりのイントネイションにメロディを充てて、ジャズっぽい洒落たコード。歌手と伴奏の絶妙のやり取りが見せ場なのだが、北村さんの抜群の振りにお客さんもバンドメンバーも釘付け。仙波師匠のおもしろ音が増幅。おかげで音楽はかすみがち?
それで良いのだ。
「すっごーく面白い芝居。ようく聴くと、支えている音楽が高度で凝っていて素晴らしい。」劇音楽の理想型。通は裏地に凝る。
歌い終わりで、ビギンのリズムが始まっていよいよ本歌が始まる。
「おれの荷物は」と一つ前の曲の「ぞくぞくと」。それぞれの歌い出しは、キーと音型を似せてある。
サビの“しらなーい”は冒頭の “ハネムーン”のメロディ。その受け答えの“うそだー”“オーマイゴッド”は「非和声音の二重半音経過音」という、用語も実際もややこしい音なのだが、男優二人がよく歌ってくれてます。
エンディングは鈴木さんの指示で、芝居によるカットアウト。終盤に植木等風の振りが入ったので、何回目かの公演がらミュージシャンそれぞれ勝手に、ドドンパのリズムやスーダラ節のフレーズを入れたりして楽しんでます。
特にギターの3吉は、小倉さん所有の植木さんから譲り受けたギターをステージで使わせてもらっているので思い入れもたっぷり。次のボサノバでは、そのオールド(レア・ビンテージ)ギターで小倉さんソロ始まりをバッキング。二人で植木さんへのオマージュになっている。こういう気分が、またまた裏地となって作品をふくよかにしていくのだろうと思います。

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