椎名豊のレイヤー

2015年8月27日
椎名豊のレイヤー

教え:四分八分、三連六連十六分。すべての割り方を同時に感じること。
解説:例えば二拍三連を頭から感じると、4拍子の1拍ウラ・3拍ウラはそれぞれ、二拍三連の2つ目・4つ目になる(バウンスを3連で取っているとして)。一つの音符が二つの基本割り振りに合致することで精度が増す。大きい方の音符に乗っかっていることで、ビートがせせこましくなく、おおらかになる。
音符の細やかな正確さと、音楽全体の大きいノリが両立するわけですね。
この話を聞いた時は、目からウロコの感。結構トライしてみたが、出来ないんだなぁ、これが。
義経の八双飛びのように、何小節かごと、時には1小節ごとにノリを変えながら、一箱(一小節)の時間を変えずに“ノリ”を変えてフレージングすることは出来る。思いつくままに列記してみても、
デルタブルースの粘っこい3連
ニューオリンズジャズの明るくハネる4拍子
ビバップのハネてはいてもどこか思索的な4拍子
モード特有の平たく、それでも3連が内在しているクールな感じ
ハードバップに良く出てくる4拍と6拍のポリリズム
ソウルフルなシンプルエイト
フュージョンタッチの軽いハネをビハインドに含んだ16ビート
細かい音符はありながらも厳然とツービートを繰り出すサンバリズム
ウラを過度に強調するレゲやスカ
まだまだ無限にあるだろう。
でも僕のこれは“乗り替わり”であって“同時併存”ではないですね。
ちょっと話はズレて哲学面に入ってみると・・・
同じ4拍子でも色んな解釈の余地を残して(演者にも聴者にも)多面的なイデアを楽しむのがジャズ的。曲ごとに突き詰めて特殊・特定の形(イデア)を作り込んでゆくのがロック的。と言うこともできる。ステレオタイプに過ぎる嫌いはあるが。

話を戻して、椎名君の教えは、ここまで種類を広げてはいなくて、ジャズの中で、2ビート・4ビート・倍のテンポ・2拍3連(表からと裏から)などなど何種類かを常に同時多発的に感じながら演奏せよというもの。

やっぱり難しかった。聞くところによれば椎名豊は優秀な野球部員だった由。運動神経と関係はあるだろうな、勿論。そういえばベースの川端民夫さんもピッチャーで4番打者だったような話を大口純一郎先輩から聞いた気がする。あの人のビートと音の太さは凄まじかった。今では米木にそのイメージが残っているだろうか。

専門的すぎる上にとりとめも無いエッセイになってしまったが、この稿はこれで終わり。
追記: 椎名豊の教えとはいえ、リズムについての悩みを大坂昌彦と話しているうちに“椎名さんがリズムが良いですね。そのことについての理論的根拠、説明も上手ですよ”とのサジェスチョンを受けての訪問だったので、間接的に大坂からの教授とも言える。

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