君の輝く夜に輝く人々

2 中島ありさ
 初対面。宝塚出身だが歌うのは極力避けてきたというのを制作の山家さんが口説いて出てもらうことになった。音域その他の取材を兼ねてまずはカラオケへ。鈴木・山家・祖父江・僕、そして中島さんの5人でボックスに入り次々と歌う。中島さんに歌ってもらって音域や声の出どころ張りどころを横で探るのだが、鈴木佐山もどんどん歌って宴会モード。鈴木氏の助言で天城越えを歌ってもらったら音域も足りてるし伸びも良い。苦手意識が取れないようなのでハモリパートはなるべく避けることにする。安寿ミラにハモリパートを歌ってもらうのも気がひけるが「ミュージカルではよくありますよ」とのお言葉をいただいたので遠慮なく。吾郎ちゃんの主メロをアリサさんにユニゾンしてもらって北村安寿のハモリという基本パターンができた。
 リハの初頭はアリサさん緊張が取れない様子。安寿さんという大先輩にして教師でもあった人との共演だからやむを得ないだろう。ところが稽古終盤からゲネプロに向けて、声は伸びてくるし音程はしっかりしてくるし、僕は門外漢だが演技・セリフものびのびしてきて、初日にお客様を前にした時のはじけ方と言ったらすごかった。さすがに宝塚の大舞台を何年も続けてきただけのことはある。
 音程・リズム・発声。どの項目も、この短期間でそれだけ上達することはあり得ないから受けてきた基礎教育が花開いたのだろうと取材すると、学校(宝塚)時代はオペラ系のレッスンだったという。女役をあてがわれたのだからさぞや。いつか王子様の最後のC音など見事にハマって年長の女性から男性の興味を自分に引き寄せる役どころを全うしている。
 バンドに紹介されたステーキ屋に行って「一番脂身の多いところをください」元気な女子である。

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