佐山雅弘質問箱 2015年6月
烏舟 リズムについて |
投稿日時:2015/06/08 14:09 |
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質問させて頂きます。
佐山さんも、アマチュアと演奏する機会がおありかと思います。 うちのドラム曰く、アマチュアはほとんどの人が死ぬほど突っ込むので、一人でキープするとズレが半端ない。 以上、宜しくお願い致します。 |
佐山雅弘 Re:リズムについて |
投稿日時:2015/06/11 22:20 | |
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日本人は基本的に前のめりに進む傾向があるのです。そのこと自体にはコンプレックスを持つ必要はないと思う。 と言いながら、ぼくもその劣等感の虜だったのですが・・・。 質問者の担当楽器が不明なので何とも言えませんが、ベース・ドラムなど、ずっとリズムを出していなくてはならない楽器の人は大変です。キープ力(りょく)を身につけないと成立しませんからね。 ぼくの専門、ピアノで言えばコツ的なものはあります。 リズムセクションを味わいながら弾けているときはまぁまぁ大丈夫。乗って来て、周りの音が少し遠のいて自分の世界に入っちゃうともう、走り出している。アタマのどっかでわかっちゃ居るんだけど、指の方が止まらない。 そういう時は気の済むまで弾ききって間を取る(休符を長く設定する)。するとドラムが必ずフィルを入れて修正してくれて、なおかつカッコいいことをやって次の段落を決めてくれる。それを受け取るかたちでちょっと印象的なフレーズから入ると・・・。ドラムのカッコいいフレーズの手柄が「素晴らしいピアノソロだ」とこちらで横取りしてしまえる(笑)。 要点としては休符をうまく利用して走りグセを音楽の進行に吸収させてしまう、というワケ。 本当はピアノもギターもリズムセクションだし、フロントといえどもジャズはリズムコンシャスな(リズムありき、リズムに寄り添って成立している)音楽だから(ジャズとは言わずポップス全般がそうですね)自分がエンジンにならなくてはいけない。 優秀なリズムセクションというエンジンに乗っかる運転手あるいは乗客ではなくて、クインテットなら5人つまり5つの、クァルテットなら4人、4つのエンジン(5気筒、4気筒)が始まってしばらくすると連動して強力なグルーブになっていく。 というのが理想ですが、日本人で自らエンジンになれてる人というのはぼくの見る所極端に少ないです。 ジャズで言えば日本ジャズ史上10人はいない。ところがアメリカ人ミュージシャンはそこそこ出来の悪い人材でもそのエンジンだけは備わっている、ように思える。 この欠点があるからこそ、分析力と対応能力が促されオリジナリティにたどり着いた先人が数多く生まれた。アメリカでは生まれ得ない独自な、しかもジャズの持つ包容力故にそれもジャズになり、歴史に参加してゆく、という肯定的な面も多いと思います。 長所は長所のままですが、欠点は飛躍的な長所に結びつきます。希望と夢を持って日々のセッションを楽しみましょう。 なんといっても音を出すこと自体が嬉しく楽しい作業ですものね。 |