佐山雅弘質問箱 2016年11月

overture
生演奏とダンス
投稿日時:2016/11/05 23:35
Can’t Stop Dancin’ 2016、拝見しました。

佐山さんのスケジュールでご出演を知り、

未だ現役の名倉さんのダンスも観たかったので即決でした。

おしゃべりしているような佐山さんのピアノと

語りかけるような腕使い、軽やかなステップ。

贅沢なひとときをありがとうございました。

佐山さんコーナーはダンサーも一番リラックスした雰囲気でしたが

演奏はどのくらい遊びが許されていたのでしょうか。

譜面通りに毎回同じように弾いているとは思えず。。。

佐山さんはダンサーの動きを観ながら弾いていらしたので

振付に演奏を合わせていたのでしょうか。

1回しか観ていなくて、このような質問で申し訳ありません。

佐山雅弘
Re:生演奏とダンス
投稿日時:2016/12/08 16:27
はじめに
ご投稿ありがとうございます。気にはなっていたのですがすっかり遅くなってしまいました。長くなりますが独り言だと思って聞いてください。

僕の場合のダンス音楽の作り方
曲選び→振り合わせ→擦り合わせ→演奏決定+デモ音源渡し→その音に則って振り付け・・・という風に作業は進みます。ということは、音源を録音したときのフレーズやテンポで振りがつき、ダンサーたちはそれこそ血のにじむ思いをしてカラダに入れ込んでくれるわけですから、次に踊りと音を合わせた時にフレーズが違うと振りの意味合いが変わってくるし、何よりもテンポが違うとカラダの動きの土台から食い違うわけです。

踊り伴奏失格者
僕はテンポを覚えるのが苦手。ピアノ1本でダンスのバックも数々経験したけれど周りに迷惑ばかり。それでも名倉先生は団員たちに「佐山さんはフレーズは勿論テンポもアドリブだからね。しっかり楽しめるようになって!」と優しく使い続けてくれました。そんな名倉さんからの“ショーの中で唯一の生演奏”のご指名は意気に感じるところ大。ある程度年配にもなったのだから一度くらいテンポもフレーズもきっちり覚えて、“アドリブを練り込んでで作った者を完成形として何度も演奏する”という、これはロック・ソウルの作り方に通じるのですが、そういうハードルを自分に課したのでした。

特訓
練習は嫌いなのに、このたびは僕の音源でリハーサルしてくれている模様を録画してもらい、その踊りに合わせてピアノを練習する、という今までの自分では考えられない真面目さで取り組んでみた。そしてスタンダードばかりとはいえ、尺も展開も決め込まれている8曲を暗譜出来た。さぁ踊りを見ながら弾ける。

それでも日替わりになる
するとあら不思議、踊り手とピアニストの呼吸で毎回テンポが微妙に違うのですね。その日の理想テンポみたいなところに両者が歩み寄ってく感じ。これは発見でした。BBMで踊るスタイルではあり得ない(これをジャズっぽいと言うのだろうか?)踊りとのコラボが楽しめたと思います。

決まっているということのジャンルによる相違
フレーズに関していうと、今回の演奏はクラシック的な意味で言えばフレーズも日替わり。けれど、ジャズ的には固定されている。判りづらいですね。
クラッシック的にはアルペジオの1音が違っても、“それは譜面と違う”ということになるけれど、僕らの側で言うと、“この部分はアルペジオ、ここになったらブロックコード”みたいな大まかな演出が決まっていることが既に毎回同じことをやる、という意味になるのですね。このファジーな感じにやっとたどり着いた、というのが音楽経験的な感想および自己評価です。ジャズミュージシャン全員が僕のように迷惑をかけてるわけではなくて、立派に務める人の方が多いです。僕という者がこの項目に対して不器用なだけ。

“間”かなぁ
具体的には、レイコ先生がリフトアップされる前の八分音符とか、何人もがロコモーションで動いている時のリズムパタ―ンの4拍目の休符とか、バウンドすると言うか、タマる、というか、とにかくミリ単位ですが伸び縮みするんです。そこでクロックライクな拍でなく円を描くグルーブの円周や面積が微妙に呼吸する感じ。そのやり取りと、その結果の表現・印象がお客さんにとっての評価の対象。というか、好き嫌いだったり、”感動からシラケの間のどこかの地点”になっていくんでしょう。

おわりに
質問回答というよりはつらつらと思いの丈を綴らせてもらいました。全部読んでくれたとしたらありがとう。読めなかった、チンプンだったといわれても何ら不満はありません。

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